ACOUSTAT MODEL3 SLIMLINE レストア その四
 
 いよいよ音出しです。 まず驚いたのが音量です。 ユニットは一枚だけなのに、三枚あったときと同じような印象です。 音質は、レストア前とは全く違います。 張り、キレ、ダイナミックレンジ、いずれも素晴らしく改善されています。 一枚だけなのに、低域の音量も充分で、ダンピングもいいです。 

 次に三枚ともつないで聴いてみました。  中央のレストアしたユニットだけから音が出ている感じで、耳を付けても、左右からは音が出ていないような感じです。


左右のユニットを外して一枚だけにし、手つかずのもう片chとステレオで聴いてみたのが下の写真です。


 
何と、中央に定位します。 それだけ音量差があります。 音質は、やはり随分違います。 左の手付かずの方は、良く言えば柔らかい、悪く言うとボケた音です。 低域は、ダンピングはあまり良くはありませんが、左の方が包み込むような自然な感じです。 この原因は、恐らくバッフル効果によるものと思います。 バッフルボードは無いのですが、三枚のユニット自体の面積が右の三倍あるわけですので、その効果はあるのではないかと思いました。
やはり、ACOUSTAT は私の好きな音がします。

という訳で、レストアは大成功でした。

ここでしばし考えてみました。 静電型スピーカーの音の違いの要因は何だろうか・・・と。
まず、フィルムの厚みですが、今回で、あまり関係ないのではないか、と思うに至りました。 フィルムは軽いですから、少しの差が大きく影響するのでは、と思っていましたが、厚くしたところで所詮軽いのだから関係ない、と考えていいのかな、ということなのでしょうか。 導電剤ですが、これは電荷を貯めるだけですので、関係なさそう、と思っていました。 しかし、ACOUSTATの抵抗値を測ったときは、これは違うのかな・・・とも思いました。 結局、やはり音質には関係なさそうで、重要なのは、経年劣化が少ないものを選択することだと思います。 フィルム重量と同じ考え方ですが、導電剤の重量もあまり関係なさそうですね。

考えるとキリがないのですが、素人の私なりに考えた結論は次の二つです。

 一つ目は信号の扱い方です。 QUADは遅延回路と兼用した回路で帯域に分け、同心円状に音を出す。 STAX はトランスの出力にネットワークを入れて各帯域のユニットに信号を送る。 ACOUSTATは、トランスを低音用と高音用に分け、その出力を合わせての一つのユニットに送る。

もう一つはトランスそのものの性能です。 QUAD も STAX も、モデルによってトランスを変えています。 STAX は、新しいモデルを発表する際、多くの場合、トランスの改良を謳っていたと思います。 QUAD ではそのようなアナウンスを私は知りませんが、モデルごとに、明らかにトランスは変わっています。 アンプと同じように、静電型スピーカーでもトランスの音を聴いているのでしょうか。


 以上のとおり、ACOUSTAT のレストア方法は概ね習得できたようです。 MODEL3 も含めて、我が家にあるものだけでも、あとユニット11枚、前途ほど遠し、大変な作業だったので、とても一気呵成こやってしまう気にはなれません。

しばらく他の作業に取り組むことにします。 そうそう、57も放り出したままですし・・・・・・

トップページに戻る